教会報「聖鐘」巻頭言(2022年3月)


聖週に寄せて

 

牧師 司祭 バルナバ 大野 清夫 

 

聖週の礼拝は、複雑に感じます。どのような礼拝を献げるべきか、悩む時でもあります。

 

私が英国レスター教区で経験した町の教会で礼拝はこのようなものでした。

 

復活前主日ではエルサレム入場の場面の聖書朗読を行います。椰子の葉でつくられた十字架を祝福し、信徒全員に配布します。この十字架を手にした信徒と聖職は聖歌「ユダのわらべのほめしイェスに」を歌いながら教会を出て、教会の周りを一周してまた教会へ戻ります。福音書はマルコによる福音書第14章15節から朗読されました。受難朗読は3人で役割を分担して行います。一人は語り手、一人はイエス様、もう一人は他の諸々の役割を演じます。説教は行いませんでした。

 

聖週の月曜、火曜、水曜は短い夕の礼拝を献げます。聖木曜日は、礼拝の最後に祝福を献げた後、教会メンバー全員で詩篇22編「わたしの神よ、わたしの神よ、なぜわたしをお見捨てになるのか。なぜわたしを遠く離れ、救おうとせず、呻きも言葉も聞いてくださらないのか。」を朗読しながら、祭壇の前の布を取り、蜀台、十字架を取り除きます。

 

聖金曜日は、午後4時に瞑想的な礼拝を行ないます。この礼拝はイースターを準備する最後の夕の礼拝となり、ピラト総督前で繰り広げられたイエス裁判の様子と、それに続く十字架に掛けられるイエスと埋葬の様子について聖書朗読が行われます。

 

聖土曜日の礼拝で洗礼の約束が更新されます。キャンドルは主イエスの復活と使徒たちを象徴するものとして、昇天の日まで毎礼拝で使用されます。

 

復活日、教会は白、黄色、紫を使った花で飾られます。祭壇の布も赤から白へ変わります。礼拝の後、前もって教会のあちこちに隠したイースターのチョコレートを子供たちに探してもらいます。聖職者はイースター直後、一週間の休暇をとります。

 

聖週間の礼拝で、日本で行われていないのは聖木曜日に祭壇の布を取る儀式です。詩編を唱えながら布を取って祭壇を裸にする儀式は、あちこちの教会で献げられます。洗足の式を町の教会で行うことは稀のようです。主に大聖堂で行われ、洗足をしてもらう人はあらかじめ指名され、指名された数名が全員を代表して洗足の式に参与します。

 

聖週はとても大切な祈りの時ですが、教会は主日を最も根源的な日とします。主イエスの復活を祝う主日は、あらゆる祝日を越えて大切な祈りの時です。そしてまた、復活前主日から始まる聖週の祈りに導かれての復活日です。聖週間の礼拝で、主イエスの復活への祈りが深まっていきます。